「NEAT(ニート)ダイエット』というダイエット方法は聞いたことがありますか?
特別な運動をせずとも、日常の体の使い方で、カロリー消費(代謝)を増やし、太らない、太りにくい生活習慣を身に着けるダイエット方です。この記事は、NEATダイエットは、本当に効果はあるのか?具体的なやり方の例を説明し、習慣化するための対策もご紹介します。
NEAT(ニート)とは?
「非運動性活動熱産生(Non Exercise Activity Thermogenesis)」の頭文字をとった言葉になり、「非運動性」は筋トレなど運動によるものではないこと、「熱産生」とは消費エネルギーのことを意味しています。つまり、特別な運動をすることなく日常生活の中で消費されるエネルギーを意味します。
NEAT(ニート)ダイエットとは?
非運動性活動熱産生を増やし、エネルギー消費を増やすダイエットを意味します。
具体的には、洗濯・子供と遊ぶ・買い物・犬の散歩・階段昇降・ストレッチなど運動に該当しないと思われる日常の活動を増やす取組です。
・・・・そんな事でやせるの?
そんな疑問について、東京大学、電気通信大学、奈良県立医科大学医学部など多くの研究機関でその健康効果、ダイエット効果が研究されています。
NEAT(ニート)ダイエットのメリット
1.心理的負担が少ない
激しい運動をしなくても、日常生活を工夫するだけでエネルギー消費を高められる。
2.持続可能
スキマ時間を利用して無理なく生活に組み込めるため、長期的に取り組みやすい。
3.カロリー消費の底上げ
日常動作を増やすことで、基礎代謝や運動と相乗的にカロリーを消費できる。
参考:NEATダイエットの考案者や支持者はのダイエットに関する意識
・ダイエットの「持続可能性」
短期的な成功ではなく、長期的な体重維持と健康を目指す。
・時間的制約や経済的制約なしに実行できる
ジムや高価なダイエットプログラムにアクセスできない人々にも実行可能。
・身体活動の多様性を尊重
日常生活の中で個人が楽しみながら行える活動に焦点を当てる。
NEAT(ニート)ダイエット研究の背景
1. 科学的背景
NEAT(非運動性熱産生)の概念は、アメリカの肥満研究者であるジェームズ・A・レヴィーン博士(James A. Levine)によって提唱されました。レヴィーン博士は、日常生活の中で発生する「運動以外の活動」によるカロリー消費が、肥満や体重管理に大きな役割を果たすことを研究で明らかにしました。
研究の要点:
NEATは、1日の総消費エネルギーのかなりの割合を占める。
NEATの消費量は個人差が大きく、1日に約200~2,000キロカロリーの差が出ることがある。
デスクワークや座りっぱなしの生活ではNEATが低下し、肥満のリスクが増加。
レヴィーン博士の研究は、ダイエットや健康管理において「いかにして日常生活の中で動きを増やすか」が重要であることを示しました。
2. ライフスタイルの変化への対応
現代のライフスタイルは、過去と比較して座りっぱなしの時間が増加しています。特に以下のような生活の変化が背景にあります。
デジタル化と座りっぱなしの生活
仕事の多くがオフィスワークやリモートワークとなり、身体を動かす機会が減少しました。長時間の座位姿勢は、代謝の低下や体重増加に直結します。
時間の制約
忙しい現代人は、ジム通いや特定の運動プログラムに時間を割くことが難しい場合が多いです。そのため、日常生活でできる小さな運動が注目されました。
肥満率の増加
過去数十年で、先進国を中心に肥満率が急増。これには、座りがちな生活や加工食品の普及が大きく関与しています。
3. 従来のダイエットの限界
運動や食事制限を中心とした従来のダイエット方法には、いくつかの問題点がありました。
①激しい運動の非現実性
運動嫌いな人や高齢者、忙しい人にとって、毎日の運動習慣を維持するのは難しい。
②リバウンドのリスク
過度なカロリー制限や短期的な激しい運動は長続きせず、リバウンドの原因になることが多い。
③心理的ストレス
ダイエットに失敗することでストレスが増え、さらに肥満につながる悪循環が生まれることがある。
NEATダイエットは、これらの課題を解決するための持続可能なアプローチとして考案されました。
NEAT(ニート)ダイエットの目的
NEATの効果は?
アメリカにおけるNEATのダイエット効果を裏付ける研究結果例
アメリカにおける研究例
8週間にわたり、被験者に通常の摂取カロリーにプラスして1,000Kcalを余分に摂取したもらい、8週間後の体重の変化を検証した。その結果、その太り方には大きな差が現れた。
被験者の生活習慣を検証すると、長時間座ってばかりの人は大幅に太った。
一方、マメに動く人は、少ししか太らなかった。
このことから、推定されることは2つ
① 摂取カロリーを1,000Kcal程度増加し、8週間続けると、やはり太る。
② 日常で小マメに動いている人は、1,000Kcal程度摂取カロリーを増やしても、少ししか太らない。
上記の②を裏付けるデータ
一般的な人の日常生活におけるエネルギー消費の内訳は、下記グラフのように構成されています。
nosh(ナッシュ)でカロリー管理&ダイエット
上記のグラフで、グレーの60%を占める基礎代謝は、特に動かなくても、寝ていても、
消費されるエネルギーです。
この基礎代謝は、体の構成によって異なり、筋肉が多い方が基礎代謝は増えます。
基礎代謝を上げて、脂肪を燃焼させましょうと言われますが、筋肉は一朝一夕には増えませんので、中長期で継続的に鍛える必要があります。
黄色の10%は、食事誘発性熱産生で、食事をとって咀嚼や身体の中で栄養素が分解・吸収されるときに、一部が熱となって消費されることを指します。これは個人差の大小はあまり大きくありません。
テーマとなるオレンジの30%がNEATです。
このNEATの30%は、日常の動き・活動・生活習慣によって変動しますので、個人差は大きくなります。このNEATを如何に高められるか?がNEATダイエットのカギになってきます。
NEATを高めることにより、エネルギー消費の総量は増やることがでるのです。
2005年にアメリカのサイエンス誌に、「太っている人は、痩せている人より、
1日に164分間も座っている時間が長い」との研究結果が発表さました。
この研究結果では、NEATの高い人は、座りっぱなしの人よりも1日平均350Kcalも消費エネルギーが多い、としている。NEATの大小で、毎日ごはん2杯分のカロリー差がつくと言われています。
NEATを高めることにより、エネルギー消費の総量は増やることがでるのです。
なお、上記グラフでは、運動は0%となっていますが、これは人により差があるものの、
最小0~最大5%にとどまるとされます。
運動によるエネルギー消費は、大きいと思われる方が多いと思われますが、実はそうでもないことがわかっています。
運動だけでやせるのは、至難の業
例えば、ジムに通ってやせるためには、週3回、1回2時間は身体を動かさないと効果が出ないといわれます。
日々忙しい中で、1回2時間、週3回をこなすことは、難しいでしょう。
ちなみに、体重を1キロ減らすためには、7200キロカロリーを消費が必要とされます。
例えば、1万歩あることで、約300キロカロリー消費する(体重によって異なる)といわれますが、それでも1キロ減らすには、7200Kcal÷300kcal=24日かかることになります。
1万歩は、およそ8km程度、時間間にして1.5~2時間かかります。有酸素運動であってカロリー消化はこの程度です。
1.5時間から2時間もかけて歩く運動を長期的に継続しても、それほど筋肉が付くことは期待できません。筋肉をつけるなら、短時間であっても、もっと負荷の強い筋トレなど(無酸素運動)を行った方が、長期的には筋肉がつき、基礎代謝が上がることが期待されます。
参考:1万歩と同程度のカロリー消費に該当する運動例
ジョギング
徒歩よりも速いペースでの運動。おおよそ1時間で10kmほど走ることができます。これは、1万歩の徒歩と同程度のカロリーを消費するでしょう。
サイクリング
高速でのサイクリングもカロリー消費に効果的です。おおよそ1時間で15kmから20kmほどを走ることができます。
スイミング
水泳は全身の筋肉を使うため、高いカロリー消費効果があります。1時間の水泳で、1万歩の徒歩と同等のカロリーを消費できるでしょう。
エアロビクス
エアロビクス運動は、高強度の運動であり、1時間のエクササイズで徒歩と同じくらいのカロリーを消費することができます。
健康的に痩せるためには、運動だけで痩せようとは思わず、食習慣の改善も取り入れることです。そして基礎代謝量を増やすために、生活のなかに身体を動かす機会を増やすといいでしょう。
NEATダイエットのやり方・はじめ方
ここから、本題であるNEATダイエットの実行について、記載します。
現代は、日常生活の機械化・自動化により、日常の体の動き・活動は1日100kcal以上も減少しているといわれています。100kcalは侮れません。2カ月で約1kg、1年で約5kgの体重増加につながる可能性があります。
こんな便利な時代だからこそ、日常の体の動き・活動、つなわち「NEAT」を高めることができれば健康的で無理なく継続できるダイエットとなるでしょう。
具体的なNEAT(ニート)ダイエットのやり方
NEAT(ニート)ダイエットの観点で、日常の動作を見直すポイントは、座っている時間を減らすことです。長い時間座ったままの状態になることを避けましょう。
(こんなところにもNEATダイエットが紹介されています。)
下記にあげる動作は、NEATダイエットの例です。
NEATダイエットの行動は、日常のいろんな場面で取り組むことができることのヒントとして頂けば良いと思います。
①姿勢を見直す
正しい姿勢を保つことで、姿勢の悪さによって衰えていた筋肉を動かすことが出来ます。
中長期的には、ボディラインの改善にもつながります。また、肩こり・腰痛症状の改善にもつながると言われます。
特に改善すべきポイントは背骨と腰です。
猫背や反り腰をただし、背骨をピンとまっすぐに。
座った時の姿勢も大切で、座骨に椅子の座面を垂直にあてて、背筋をのばしましょう。
②こまめに歩く
・近くの買い物は歩く
・日常で思い立ったことは、すぐに実行する、人に頼まず、自分で動く
③階段を使う
職場や外出先ではエスカレーターやエレベーターをなるべく使わず、階段にチャレンジする。
チャレンジを積み重ねると習慣になります。
駅や買い物中も階段を使うようにして、無理のない範囲で慣れましょう。
④座るときも意識
姿勢のところでも触れましたが、座る姿勢は重要です。
座骨に椅子の座面を垂直にあてて、背筋をのばしましょう。
また、足を組まないこと。
両足は、かるく密着する状態で、お尻の筋肉と肛門を締めるイメージで。
また、長時間座り続けている場合は、脚の運動を。
足首を回す、かかとを地面から少し離して20秒から30秒キープするなどがおすすめ。
血の巡りをよくすることができるので、むくみ防止にも効果的です。
⑤家事をする
家事を頑張ることもカロリー消費になり、NEATの増加になります。
掃除、洗濯、布団干し、洗車、庭の草むしり、ゴミ出し、やることはたくさんあります。
風呂掃除やトイレ掃除はたくさんカロリー消化できそうです。
NEATダイエットの注意点
NEATダイエットは日常の生活習慣をゆっくり変えるつもりで、実行して定着させたいところです。だから、下記には注意して取り組みましょう。
無理に一気にやろうとしない
一度に一気にやろうとすると、無理がかかり、継続できずに、途中で挫折してしまう人も多いでしょう。まずは姿勢を常に正しく意識する、なるべく歩くなどから始めましょう。
無理せず、出来そうなことを列挙して目標にする
・散歩を増やす
・掃除のやり方を変える
・洗車機をつかわず手洗いする、
・エレバーターつかわず、階段を使うようにする!
など長期で無理に目標を決めずに自分が必ず目標を達成出来る目標をたてましょう。 無理な運動をしないで少しずつ頑張っていければ自然に痩せやすい習慣や体質をつくれるようになります。
NEAT(ニート)ダイエットの欠点デメリット
NEATダイエットは、特別な道具や運動を必要とせず、日常生活で無理なく取り組める一方で、以下のデメリットがあります:
・効果が見えにくい(短期的な減量には不向き)
・個人差が大きい(活動量や環境に依存)
・習慣化が難しい(意識的な取り組みが必要)
・運動不足のリスク(筋トレや有酸素運動の補完が必要)
NEAT(ニート)ダイエットの欠点と考慮し、NEAT(ニート)ダイエットを効果的に実行するための対策
NEAT(ニート)ダイエットを習慣化するため、より効果的にダイエットに取り組むための対策、サポートする商品をご紹介します。
これらの対策やツールは、日常の活動量を自然に増やすことを促進し、健康的なライフスタイルを維持するためのサポートを提供します。
NEAT(ニート)ダイエットをサポートする商品やサービスは、日常の活動量を自然に増やすことを促進し、健康的なライフスタイルを維持するためのサポートを提供します。以下に具体的な商品やカリキュラムを提案します。
1. サプリメント
NEATダイエットを補助するためには、代謝促進やエネルギー維持をサポートするサプリメントが効果的です。
おすすめのサプリ成分
BCAA(分岐鎖アミノ酸)
日常活動中の筋肉の分解を防ぎ、活動量を増やす際のエネルギー維持をサポート。
L-カルニチン
脂肪の代謝を促進し、日常動作中のエネルギー消費を助ける。
カフェイン
軽度の刺激作用で集中力を高め、NEATを意識した生活の維持をサポート。
ビタミンB群
エネルギー代謝に不可欠なビタミンで、疲労を軽減。
植物性ファイバー(サイリウムやグルコマンナン)
満腹感をサポートし、間食を防ぐことで健康的な食習慣を促進。
2. 健康メニュー
NEATダイエットでは、食事は極端に制限する必要はありませんが、エネルギー消費を助けるバランスの取れた食事が重要。
食事が適切だることが、NEATダイエットの前提でもあります。
食事習慣に改善の余地のある場合は、食改善とNEATを同時並行することがダイエットの近道になるハズです。
手早く食事の内容・習慣を改善するなら、宅配健康弁当も選択肢となるでしょう。
ナッシュ(nosh):低カロリー・高たんぱくのメニューが豊富。冷凍宅配で忙しい人にも便利。
⇒健康的なダイエットにも有効なnosh(ナッシュ)
ベースフード(BASE FOOD):完全栄養食として、タンパク質やビタミンB群を含むパンやパスタを手軽に摂取。
⇒
*活動量を増やす食材選び
噛み応えのある食品(玄米、全粒粉パン、野菜スティックなど):咀嚼回数を増やし、消化時のエネルギー消費を高める。
⇒ダイエット中もパンを食べたい!パン好きのための全粒粉・ふすま粉・大豆粉の選び方と賢い買い方
温かいスープや飲み物:体温を上げて、日常活動中のエネルギー消費をサポート。
*食事プラン提供サービス
食事管理アプリ(例えば「あすけん」):NEATの活動記録と連動し、適切な栄養バランスを提案。
3. ダイエット指導カリキュラム
NEATダイエットでは、日常動作を増やすための工夫やモチベーションを保つ指導が重要です。
オンライン指導によるダイエットプログラムなら、食事・メニュー提案指導と運動習慣や生活習慣の改善指導をうけることができます。
現在では、LINEでの食事・生活指導もあります。
オンラインによるダイエット指導・食事指導は、コストがかなりかかるイメージありますが1日当たり100円(月3,000円)程度ではじめることができる人気サービスもあります。⇒LINEを活用したダイエット指導「ガレイド ウェルネス クラブ(GALLEIDO WELLNESS CLUB)」
食事写真や活動記録を送るだけでフィードバックが受けられる。
動くための「小さな目標」を設定し、日常生活にNEATを取り入れる指導。
ウェアラブルデバイス連携指導
スマートウォッチ(Fitbit、Apple Watchなど)と連携し、1日の活動量をモニタリング。具体的な行動提案を受けられる。
週単位の行動プラン
NEATを高めるための生活リズムを個別に提案。
例:「1時間に1回のストレッチ」「食後に10分歩く」など。
グループセッション
同じ目標を持つ仲間と情報を共有しながら、習慣化を促進する。
4. 便利グッズ
日常的な活動量を増やすためのツールや環境整備も効果的です。
スタンディングデスク
座る時間を減らし、立ちながら作業することでNEATを高める。
活動量計・歩数計
例:Fitbit、Garmin、スマホアプリ(Google Fitなど)。
1日の歩数や消費カロリーを可視化してモチベーションアップ。
ながら運動グッズ
フィットネスバイクやバランスボール:テレビを見ながらやオフィスで使用可能。
小型トランポリン:家で気軽にカロリー消費ができる。
タイマーやアラーム
1時間に1回立ち上がって動くよう通知するアプリやデバイス。
5. コミュニティ型サービス
他者との繋がりを通じてNEATダイエットを楽しむ仕組みを提案します。
SNSでのNEATチャレンジ
1日○歩達成、○回階段を利用などのチャレンジを共有するプラットフォームを利用。
例:TwitterやInstagramで「#NEATダイエット」を活用した投稿。
ウォーキングイベントの参加
地元のウォーキングイベントやオンラインでの仮想マラソンなどで日常の歩数を増加。
参考文献
著者の山田 恵子氏は、東京大学医学部卒業。
整形外科専門医、認定産業医。東京大学医学部医療情報経済学、ハーバード大学研究所客員研究員等を経て、東京大学医学部附属病院整形外科(
まとめ
NEATダイエットは、極めてカンタン、シンプルで、コストもかかりません。
要は、日常の体の動きを活発にすること。あるいは、常に楽をしたい、動きたくないという発想を棄てて、カラダを使う機会を地道に増やすこと。気合を入れて運動するような努力でなく、日々の些細な動きの積み重ねで、自分の消費カロリーの30%部分を増大させることが出来ます。
なお、NEATダイエットは、運動・スポーツあるいは筋トレでカラダを絞りこむことを否定するものではありません。NEATに該当する日常的な活動・体の動きを活発にしながら、時間のある時に、スポーツや筋トレにも励むことで、より一層、健康的で引き締まったカラダをつくることが出来るでしょう。
最後に、人間の体の細胞は、10年ですべて入れ替わります。また、毎日、細胞は入れ替わっています。日々の生活習慣で、3年後、5年後、10年後の体形は変わるのです。
筋トレと宅配食でリバウンドしない太らない体をゲットする方法
ご参考サイト日経GOODAY「代謝のカギはニート?」
結婚して20年、共にダイエットに勤しむ50代夫婦。加齢に伴う代謝減少に対抗するために、コロナ禍から筋トレとたんぱく質の強化に取り組み、かろうじて体形を維持するも、共に酒と美味いモノに目がないため、筋肉はなかなか付かない。夫180cm・68kg、妻154cm・42kg。60代も体形維持するために、美味いものとダイエット情報を集めます。