アルコールを愛する人にとって休肝日は、寂しく味気なく悲しい日です。ほぼ毎日、愛飲している筆者にとって、休肝日はよっぽど体調が悪い日だけで、年間に数回です。そんな筆者は万年ダイエッターでもあります。ダイエットは多くの失敗を繰り返してきまましたが、衣類のサイズを変えることなく、何とか凌いできました。その経験から、ダイエットの実行とアルコールの愛飲の両立の可能性を記載します。
はじめに
ここに記載したアルコールの付き合い方は、筆者とその配偶者(ともに酒好きなんです。)の日常であり、他の方が実行した際に、体形を維持できるかは、わかりません。
また、既に健康診断の肝機能数値などに異常がある方は、この記事は参考にせず、医師の診断・指示に従うことをおすすめします。
ダイエットに取り組む機会に、アルコールを断つ、あるいは減らす、休肝日を計画的に実行しようとする方は、下記の「前提:アルコールはダイエットの大敵である」だけをお読みいただき、その決意を固めて下さい。
ダイエット中も、アルコールをほどほど楽しみたい方は、最後までお読みください。
前提:アルコールはダイエットの大敵である
アルコールは、ダイエットには良くないことは良く知られていますが、その理由を再確認のために、記載します。
カロリーの増加
アルコール自体には高いカロリーがあります。
純粋なエタノール(アルコールの主成分)は1グラムあたり約7キロカロリーと、脂肪(1グラムあたり約9キロカロリー)に近いカロリーがあるのです。恐ろしい。
さらに、アルコール飲料の一部(特にカクテル系)には、糖分やその他の添加物が含まれており、さらにカロリーが上がることがあります。
代謝の変化
アルコールを摂取すると、体はアルコールを優先して処理しようとします。これはアルコールが体にとって有毒なため、速やかに分解し排除しようとする反応です。このため、他の代謝プロセス(特に脂肪の燃焼)が遅くなります。アルコールの摂取が多いと、体が脂肪を効率的に燃焼できなくなる可能性があります。恐ろしい。
食欲の増加
アルコールを摂取すると、血糖値が一時的に上昇した後、急速に下降することがあります。この急激な血糖値の変動は食欲を刺激し、結果的に過食につながることがあります。
これは、実感された経験があると思います。「〆にラーメン」などは、そのまさにその類でしょう。恐ろしい。
また、アルコールは思考面で抑制機能を低下させるため、食事の自制心が効かなくなり、高カロリーな食べ物を多量に摂取してしまう、いわゆる「ドカ食い」につながることもあります。
栄養素の吸収阻害
アルコールはビタミンやミネラルの吸収を阻害することがあります。特に、ビタミンB群や亜鉛など、代謝に重要な栄養素の吸収が悪くなることが知られています。ビタミンB群は、代謝にかかわるため、この点でも問題です。
また、全体的な栄養バランスが崩れ、体調を悪化させる可能性があります。
睡眠の質の低下
アルコールは一見すると睡眠を促すように思えますが、実際には睡眠の質を低下させることがわかっています。特に、深い睡眠(REM睡眠)の割合が減少し、体の回復が十分に行われないことがあります。睡眠不足はホルモンバランスを乱し、過食や代謝の低下を引き起こす可能性があります。
筋タンパク質の合成の阻害
ダイエットと並行して、筋トレに励む人にとってもアルコールは敵となります。
アルコールを摂取すると、筋肉のタンパク質合成が抑制されることが研究により示されています。筋タンパク質の合成は、筋肉の修復や成長に必須のプロセスです。アルコールがこのプロセスを阻害する主な理由の一つは、mTOR経路の抑制です。mTORは細胞の成長と増殖を促進する重要なシグナル経路であり、アルコールによるこの経路の抑制は筋肉合成の低下を招きます。
テストステロンの低下とコルチゾールの増加
アルコールの摂取はホルモンバランスにも影響を及ぼします。具体的には、筋肉成長を促進するテストステロンのレベルが低下し、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが増加します。テストステロンが低下すると筋肉の合成能力が低下し、コルチゾールが増加すると筋肉の分解が促進されます。これにより、筋肉量の減少や回復力の低下が引き起こされる可能性があります。
このように、アルコール摂取は、摂取カロリーの増加、基礎代謝の低下を招くことに加えて、
ダイエットのリバウンドを防ぎ、基礎代謝を向上させるために励む筋トレの効果を阻む方向に働いてしまいます。
それでも酒を愛する人は、ダイエットのために酒を断つことが困難な方もあるでしょう。
筆者は、まさにそうです。
ダイエットを継続しながら、アルコールを楽しむために知っておきたいこと
ダイエットに取り組む上では、まず知っておきたいのはアルコールのカロリー。
下表は、アルコールの種類別、100mlあたりのカロリーと含有される糖質およびプリン体(g)です。
冒頭で、ご紹介した通り、アルコールは1グラムあたり約7キロカロリーありますので、
アルコール度数の高い、ウイスキーや焼酎はカロリーも高くなります。
一方で、糖質は、焼酎・ウイスキーは0で、ビールと日本酒が高めです。
ただ、ウイスキー・焼酎は、ストレートで飲むことは稀で、水割りや炭酸水で飲むことが多いのに対し、日本酒・ワイン・ビールは、そのまま飲むことを考慮する必要があります。
ビール
ビールは炭水化物が多く含まれているため、カロリーが高くなりがちです。特に、通常のビールは1缶あたり約150カロリー程度、糖質11g程度を含みますが、これは炭水化物由来のカロリーが多いためです。ジョッキでぐびぐび飲むこともあり、カロリー・糖質はそれなりに増えます。ジョッキ1杯(500ml)飲めば、ごはんお茶碗一杯程度の糖質となります。
日常的な「がぶ飲み」は、ダイエットには大敵です。
日本酒
日本酒も炭水化物の含有量が高く、100mlあたり約100カロリーあります。糖質の消化吸収が速やかに行われやすいため、体脂肪として蓄積しやすいです。
ワイン
ワインはアルコール度数にもよりますが、赤ワインや白ワインは100mlあたり約70〜80カロリーと他のアルコール飲料に比べて比較的低カロリーです。また、赤ワインにはポリフェノールが含まれており、抗酸化作用があり健康にも良いとされています。
ウイスキー
ウイスキーは炭水化物がほとんど含まれておらず、カロリーはアルコール由来のみです。一般的には1ショット(約30ml)で約70カロリーです。
焼酎
焼酎は蒸留酒のため、米・芋・麦のいずれも炭水化物がほぼ含まれていません。アルコール度数が高いものの、100mlあたりのカロリーは約200カロリーと高めですが、飲む量によってはカロリーの摂取を抑えることが可能です。
焼酎・ウイスキーは、水割りや炭酸水でわることで、飲む量の割にカロリーを抑えることができて、糖質・炭水化物が含まれないので、アルコールの中では太りにくい類とされます。
太りやすいアルコール、比較的太りにくいアルコールの区別の仕方
上記の通り、アルコールの種類によって含まれる炭水化物やカロリーが異なります。
一般的に、蒸留酒は糖質が少なく、発酵酒はその製造過程で糖質が多く含まれる傾向があります。特にビールや日本酒は発酵により糖質が豊富なため、ダイエット中は摂取量を控えめにすることが推奨されます。一方、赤ワインやウイスキーなどはカロリーが低めで、適量ならばダイエットの妨げになりにくいです。
ビールの原料は、麦・ホップ、麦焼酎の原料も麦です。どうて、麦焼酎には、炭水化物が含まれないのか?
ビールと麦焼酎に含まれる炭水化物・糖質の量の違いは製造方法にあります。
ビールの製造
ビールは麦を麦芽にすることから始まります。この麦芽を水に浸して加熱することで糖化します。その結果、糖分を多く含んだ液体が得られます。この糖分をイースト(酵母)が発酵させることでアルコールが生産されますが、発酵過程で糖の一部が残ります。したがって、ビールは炭水化物(主に糖類)を含んでいます。
麦焼酎の製造
麦焼酎も初めに麦を麦芽化して糖化しますが、この後のプロセスが異なります。得られた発酵液を蒸留することで、アルコールを含む蒸気を抽出します。蒸留の際、水分とアルコール以外の大部分の成分(糖質を含む)は液体の中に残ります。蒸留によって抽出されるアルコールは、ほとんど純粋で、糖質やその他の非揮発性成分はほとんど含まれません。
このため、麦焼酎は蒸留酒として、炭水化物がほぼ含まれていないのに対し、ビールは発酵酒として炭水化物を多く含むという違いがあります。その結果、麦焼酎はダイエット中の飲料としてはビールよりも適していると言えます。
ダイエット中のアルコールの楽しみ方
1.日常の水分摂取を積極的に
適切な水分摂取は、常に重要ですが、アルコールを愛する人は、日常で意識して水分を積極的に摂る必要があります。水分不足は、肝機能・腎機能の負荷を増やします。アルコール解毒のために働く肝臓・腎層のために、水分の確保は重要です。
筆者の配偶者は、一時期、肝機能数値が悪化傾向にありましたが、1日1.5lの真水を毎日飲む習慣によって、数値は改善し元通りになりました。
2.低カロリーの飲み物を選ぶ
ワインや蒸留酒(ウイスキー、ウォッカ、ジンなど)は、ビールや甘いカクテルに比べてカロリーが低めです。ワインは辛口を、ウイスキーはハイボールで量を増やしてアルコールを薄めて楽しみましょう。
3.飲む量をコントロールする
アルコールの摂取量を意識的にコントロールすることが大切です。
小さめのグラスを使用する、または飲むペースを遅くする、会話しならゆっくり楽しみましょう。
4.飲酒のタイミングを考える
食事と一緒にアルコールを摂ると、食後の血糖値の急激な上昇を防ぎやすくなります。
また、就寝前の飲酒は避け、睡眠の質を保つことが重要です。
5.アルコール以外の飲み物も用意する
アルコールを飲む間に水やノンアルコール飲料を交互に飲むことで、総摂取カロリーを抑えることができます。
6.適度な運動を継続する
日常で適度な運動を心掛けることで、消費カロリーを稼いでおきましょう。
アルコールがダイエットに与えるデメリットである代謝の減少に対応すべく、日常の運動を心がけましょう。
筋トレを行う場合は、筋トレとアルコール摂取の時間を空けましょう。
例えば、筋トレは朝、アルコールは夜に。筋トレの直後にたんぱく質摂取して、筋肉の合成を促し、筋トレの後はアルコールを控えます。
日常的な運動は、ダイエットには極めて有効です。運動しないで、アルコールを楽しんでいると、ダイエットはすすみません。
少しづつでも活動量を増やしていくことが大切です。
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7.肝機能を向上させる食事を意識し、実行する
アルコール摂取が体に影響するように、日々の食事全般も当然に体に影響を及ぼしていることは言うまでもありません。しかしながら、アルコールを摂取していることを自覚して、日々の食事の内容を意識的に選んでいる人は少ないのではないでしょうか。
肝臓をいたわる、肝機能を向上させる食事を積極的にとって、肝臓を応援しましょう。
肝臓を応援する栄養素
・ビタミンC
強力な抗酸化作用を持ち、肝臓の細胞を損傷から保護するのに役立ちます。
・ビタミンE
ビタミンEも抗酸化性が高く、肝細胞の保護に効果的です。
・ビタミンB群
特にビタミンB12と葉酸は肝臓の機能を支え、新しい肝細胞の生成を助けるとされています。
・オメガ3脂肪酸:
抗炎症作用があり、肝炎などの肝臓疾患のリスクを低減することが期待されています。
肝臓を応援する食材
・コーヒー
肝臓病の進行を遅らせる効果があるとされ、適量のコーヒー摂取は肝機能の向上につながる可能性があります。
・緑茶
カテキンを豊富に含み、肝臓の保護や肝炎の予防に効果的です。
・クルクミン(ウコン):
強い抗酸化作用と抗炎症作用を持ち、肝機能の向上に寄与すると考えられています。
・にんにく
アリシンという成分が肝臓を保護し、毒素の除去を助ける効果があります。
肝臓を応援するサプリメント
食事だけでは、摂取しにくいものを選んで利用しています。
・ミルクシスル
シリマリンという成分が肝細胞を保護し、肝臓の修復を助けるとされています。
筋トレ、ダイエットにも有効です。
L-カルニチン:
肝臓のエネルギー代謝をサポートし、全体的な肝機能を向上させる効果が期待されています。
αリポ酸:
強力な抗酸化剤で、肝臓のデトックス機能を支援します。
これらの栄養素や食材、サプリメントをバランスよく取り入れることで、肝機能のサポートが期待できます。
まとめ
ダイエットはしない、酒は飲みたい、運動はしたくない、これら3つに加齢が揃うと必ず太ります。ダイエットを継続しながら、アルコール摂取と運動をコントロールすることで、体形を維持することは可能です。コントロールするから、楽しめるんです。
参考サイト:アルコールと筋肉の関係、ダイエットへの影響)
肝臓の健康のためのトップ8のビタミンとサプリメン
結婚して20年、共にダイエットに勤しむ50代夫婦。加齢に伴う代謝減少に対抗するために、コロナ禍から筋トレとたんぱく質の強化に取り組み、かろうじて体形を維持するも、共に酒と美味いモノに目がないため、筋肉はなかなか付かない。夫180cm・68kg、妻154cm・42kg。60代も体形維持するために、美味いものとダイエット情報を集めます。